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29日目:2000年3月8日(水) くもり
主な移動経路:アメリカ・アトランタ→バハマ・ナッソー
宿泊地:ホテル・マリオット


#アメリカ一周、アメリカ脱出

最後までシャーンの質問攻めだった。
「お腹空いてないか?」「ホントウか?」「ノド乾いていないか?」・・・

「バナナ?好きだけど?」と言うと、「そうだろう、そうだろう。」という顔をしてバナナ、クッキー、ジュースをわたしに与えてくれたシャーン。

決して悪い人ではないことはわかっている。わかっているよ、頭では!(笑)

「アトランタの空港までタクシー使ったらいい」と言ってくれたけれど「電車が安くていいから」、というと、「タクシーが早くていいからそうしろ」というシャーン。

ちょっと英語教えてもらいたかっただけなのに困ってると思ったらしく、「そういうときは、カスタマーサービスに行ったらいいよ」から始まり、カスタマーサービスとは何ぞやまで教えてくれたシャーン。

本当に日本から来たばかりの何にも知らない小娘が、これからバハマに行くと思ったらしい。


「アトランタをスタートして1ヶ月アメリカを一周して、戻ってきたんです。だから、アトランタ空港までの行きかたもわかるし、電車で何分かかるかもわかるし、安いっていうのも知ってるんです。」


ついに紋所を突きつけたら(大げさ)、シャーンは「オー・・・オー・・」とメン玉が飛び出そうなほどに目を見開いて何度もそう言った。 よほど信じられなかったらしい。驚かせてごめんね。

別れ際、「キミは本当にかわいいよ!」とわたしに言って微笑んでくれた。実はとてもいい人だったのかも。うん、そう思っておくことにしよう。 プラス思考で。

そんな風にして、アトランタに戻ってきた。

ちょうど、1ヶ月前、わたしはここにやってきた。
ノーフォークから飛行機に乗ればいいのにとみんなに言われたけど、わたしはバスでこの、アトランタに戻ってきたかったのだ。

長かったか、短かったかと訊かれたらやっぱり短い。わたしはまだそんなに生きてはいないけれど、今までの人生を振り返ってみても「あの時は長かった」と思うときなんてひとつもない。それは、苦しいことであっても、だ。過ぎ去ってしまえば、どれもこれも信じられないほどに短く感じるものだ。

旅をするにはあまりにも広過ぎるアメリカ。もう、しばらくはあのグレイハウンドにも乗ることはないのだ。そう思うと、心臓を鷲づかみにされたかのように胸がきゅんとなる。

MARTAに乗ってアトランタ空港へ。いよいよフロリダからほど近い、バハマという国へ向う。2泊の予定だ。MARTAの中では熟睡していたようだ。目を覚ますとパコンと割れてしまいそうなほどに頭痛がする。寒気もひどい。デルタの国際線カウンターに行ったけれど、国内線利用となんら変らず、あっさり通過。ただ、飛行機に乗り込むときに、緑色のI−94だけむしりとられた。

機内ではジュースが出たけどこのわたしが飲む気にもなれなかった。冷たいジュースなんて飲んでしまえば凍ってしまうに違いない。みんな半そでなのに1人毛布を被ってガタガタ。感覚的に9度近くあるみたいだ。一人暮らしを始めてから、毎年決まって熱を出すようになった。しかも熱が出るというと必ず40度近い高熱。実家に居た頃はこんなことなかったのに・・・母親の栄養たっぷりのご飯が、わたしの健康の源だったんだと、改めて思う。

バハマに着くのが憂鬱で仕方がなかった。
着いたら市内までローカルバスより苦手なタクシーに乗らないといけないからだ。おとなしくアメリカに居ればよかった・・・バハマへ向かうことをとても何度も何度も後悔していた。機内で入国の紙をもらう。簡単なことばっかりだったので特に問題はなかった。

入国審査の待ちで20分ほどかかったけれど、何日滞在するのかとだけ訊かれただけ。

外に出ると、曇っていて他の人には申し訳ないけれど心の底からほっとした。重症だこりゃ。

タクシーを待つ人、それを整理する人、レンタカーを借りる人で人が溢れていた。タクシーに乗らないと、ダウンタウンまでは行けないのは知っていた。タクシーとレンタカー以外、交通手段がないのだ。

タクシーは1人で乗っても3人で乗っても同じ値段だし、1人は心細いし、誰か捕まえて半額払う、と言って乗せてもらおうか、それにしてもここのタクシーはどうしてこんなに大きいのだろう・・1人で乗ったら追加料金とられたりしないよね・・・

バケーションでやってきている人ばかりらしく、ゆったりとした笑顔で溢れている。スーツケース持ってる中、みんな暑いから半そでを着てる中、2〜3人で仲間と遊びに来てる中、わたしだけバックパックを背負い、寒さに震えながらジャージを着て、1人旅・・・大分わたしは勘違いをしているみたいだ。

とにかくタクシーに乗ってしまおうと、覚悟を決めたとき、背中から、「日本人?」という日本語が聞こえた。

わたしに言ってるのだろうか、と思いふり向くと、一人の男性が立っていた。知らないふりをしようか、中国人だと嘘をつこうか1秒くらい考えたけど、日本語に反応したということは日本人だとバレバレではないか、と思い「はい、そうです」と答えた。

「どこまで行くの?ダウンタウン?僕ケーブルビーチだから一緒に乗ってき。ケーブルビーチからダウンタウンまでバスで行けるよ。行きかた教えてあげるから」と言ってくれたのである。


ラッキー!


なんてグットタイミング。ケーブルビーチまでの20分くらい、車内で男性といろいろ話をすることになった。

わたしが1人で旅をするのが好きな理由のひとつが、いろんな人と話しをすることができるということだ。友達といると、いつも友達とだ。でも、1人でいると、いろんな人が話しかけてくれる、助けてくれる。もちろん、逆もある。1人でいるから、話しかけてみたい人、手を差し伸べたくなる人。

だけど、わたしはそこまで自分でどんどん話していけるほうでもない。どちらかというと、はずかしがりやだし、一人で居ることに苦痛を感じるわけでもない。ご飯だって一人で平気。

それでも、例え刹那な出逢いであっても喜びを感じるのは、普段の生活ではなかなか見つけづらい、自分に似たような人や、想像も付かないような「おもしろい」人に出会える確率が高いからなのかもしれない。

でも、本当は、きっと日常だって新しい出会いで溢れているのだ。気づかないだけで。

ただ、「旅」というエッセンスが加わると、少し自分が興奮して、知らない土地だから自分が少し変われたような気がして、色つきメガネをかけているから、勇気が出て時に大胆になって、ちょっぴりいろんなものが刺激やなんやでプラスされて感じるだけの話なのだ。

それが悪いことだなんてちっとも思わない。

ただ、
「旅」という世界の中に、もう一人の自分が居るわけでも、新しい自分がいるわけでもない。

勘違いさえしなければ、たった一人の自分が得られることってたくさんあって、すごく人として豊かになれると思う。経験は宝だから。働いていても、学生生活をしていて、遊んでいても、旅をしていても。いつも自分は一人しか居なくて、いつも日々発見なのだから。そのことはいつも覚えていよう。

ところで、この男性はどういう人なんだろう。御歳は40代後半か。

わたしが興味を持ったのは、年齢的にも生活レベル的にも今までのわたしの身のまわりにはいなかったタイプの人だということ、わたしと同じくプロ野球好きだったという点からだ(ちなみに男性は虎ファンでわたしは巨ですが)。

乗せてもらったから無愛想なのも申し訳ないという気持ちからではなく、男性(以下おじさまと呼ぼう)とは自然とおしゃべりができて楽しかった。ただ、「娘さんいらっしゃるのですか?」と訊いたときに「いや・・・」と言って窓の遠くを見るその悲しそうな目が気になった。

何故だかマリオットに到着
ホテル・マリオット(次の日に撮ったもの)

話は飛躍し、ホテルを決めもしないでこの国にやってきたことを心配してくれたおじさまが、泊まっているマリオットにわたしの部屋を取ってくれることになった。


ありえんしー!


あまりにも高いお部屋で、わたしには身分不相応(2泊で600ドル程、オーバー:このときで7万円ほど!!)なので「え、そんな!悪いです」と断ったのだけれど、「お金のことは気にするな。ここで楽しめよ」と言ってくれたのだ。

いいのかな、いいのかな・・・ありがとうございます!

宿も決まって落ちついたら、少し熱っぽいが体調もよくなったので(多分テンションがあがってるだけだけど)ダウンタウンに行くことにした。閉じこもっているだなんてもったいない。

おじさまにバスの乗り方を教えてもらって出陣だ。今日は曇っていて、見たかった快晴には程遠い。なんだかノドが乾いたので、露店でBahamamama(maが1個多いかも)というのを買って飲むと、ちょっと・・いやかなりアルコールが入ってたようでびっくり。でも、いちご味がしておいしかったけど。1発でヘロヘロ。

買い物には興味がないわたしなので、とにかく街を歩いて雰囲気を味わいたかった。

あ、そうだそうだ、友達のお土産を買わなくては。ナッソーの香水やさんにはたくさん香水が並んでて(当たり前)、見たことないようなのや、かわいいびんに入ったのがズラリと並んである。いっぱい試したかったけど、言わないとテスターは出してもらえなかったし、鼻がおかしくなりそうだったので、バハマのdestination Bahamasを購入。貝殻の形したびんに入ってて、色も青でかわいい。気に入ってくれるといいな。消費税がかからないのでありがたい。ここでは普通にUSドルを使うことができる(おつりはバハマドルをくれたけれど、1USドル=1バハマドル)。

帰るとおじさまがホテルの中を案内してくれ、ジュースでも飲むか、と誘ってくれた。

昔のわたしならここで断ってたのだろうと思う。初めての人と食事ってあまり得意ではないからだ。その「ジュースでも飲むか」「はい」から、レストランで2人のいろんな話がはじまったのだ。

おじさまはわたしよりいろんな意味で大分上の人なのだけど、わたしの話をばかにしたりしないで、「おまえおもしろいなぁ!」と言って最後まで耳を傾けてくれた。

ある話をしていたとき、おじさまの目が潤んだのをわたしは見逃さなかった。

どうしてさっき、タクシーの中で悲しい目をしたのかわかった気がした。ジュース1杯のはずか、何時間話したのだろう。ちゃっかりごはんまでごちそうになる。体調悪いのなんてどっかへ行ってしまったようだ。

おじさまにおやすみをし、今日は早く寝ることに。

「いろんなところに行って、いろんなコを見てきたけど俺が見てきた一人旅してるコってどこか身構えてて、キツイんだ。入りこめないというか。でも、おまえにはそれがなかったから。だから助けてやろうと思ったんだ。」

そういう風に見てもらえて、すごく嬉しかった。


30日目:2000年3月9日(木) 快晴
主な移動経路:バハマ・ナッソー滞在
宿泊地:ホテル・マリオット

空は真っ青!これだ!わたしが見たかった空は。思い浮かべていたカリブの空。

朝の9時くらいにもう、掃除の人がやってきて来てびっくりした。早いよ。部屋にわたしがいることがわかると、その清掃員は、一言、"LAZY"だとつぶやいた。わからないと思って言ったのだろうが、わたしだってそのくらいの単語はわかるんだからね。プンプン。

文句言ってやろうかと思ったけど、朝っぱらからこんなことに腹を立てるのもいかがなものか、素晴しい1日を予感させるいい天気なのだしと思いなおし、掃除はいいよ、と優しく言っておいた。何て大人なわたし。

15時間程寝たので今日は元気ハツラツである。
パラダイスアイランドのアトランティスという高級ホテルに今日は行くことになっている。どうしてかというと、姉にフェラガモの靴を買ってくるようにとの命令を受けているからだ。面倒くさいが肉親の頼み、致し方あるまい。

ホテルのインフォメーションで訊くと、ケーブルビーチからの交通手段はタクシーか、ケーブルビーチからダウンタウンまでバス(チップ入れて1ドル)に乗って、そこからパラダイスアイランドまで往復6ドルの水上タクシーに乗るか、なのだそうだ。

そりゃもちろん、水上タクシーでしょう。

水上タクシーは何分に1本とかいうのではなく、人がそれなりに集まったら出発するようだ。タクシーと言っても、ボートというか、小型フェリーというか、そんな感じだ。

行きは一生懸命ガイドのお兄さんが説明してくれた。それにしても日本人4人組(卒業旅行で来たという感じ)うるさすぎ。英語がわからなくても聞くか、せめておしゃべりはやめたほうがいいと思うよ。こういうのを目の当たりにすると同じ日本人としてとても恥ずかしい。

15分くらいで到着。海が青くて、本当に綺麗。やっぱり、海の側って落ちつくなと思った。

海がピカピカだ

せっかくアトランティスまでテクテク歩いて行ったのに、「そのサイズはないの」とおねえさん。
すごく探してくれたけど、どの靴も姉のサイズは置いていないらしい。確かに並んでる靴は、どれもこれもでかいもんね・・・せっかくここまで来たのに。でも、反面、荷物が増えなくて安心。

あまりに海が綺麗で、写真を撮ろうとしていたら掃除のお兄さんがやってきた。

「どこからきたの?1人?夜ダンスなんてどう?」彼の名前はケビン。

黒人の超男前!

しばらく話をしていたけれど、お。これってナンパじゃん。いかんいかん、と思い、ほどよいところで会話を切り上げた。どうせでさえ、この南国では、ジャパニーズガールは軽いと思われてるのに(歩けばナンパ(笑)それ目当ての方はドウゾ)・・・

今だからいいます。ケビン、あなたはわたしの超タイプでした。素敵だったわ。

でも、ケビンに撮ってもらった写真はアングルにセンスのかけらもなく、やっぱりあのままセルフで写真を撮ればよかった、とかなり後悔でした(苦笑)。

眩しいよ
ナッソーの街 ほのぼの

昼からはホテルのプライベートビーチに出て、オイルを塗ってビーチで読書。あら、何て優雅な時間!

読書に飽きたらカリブ海へ。遠浅でびっくり。遠浅の海に入ったのは初めての経験なのである。遠くまで行っても腰くらいの深さ。変なの。

パラシュートをしている人、バナナボートに乗っている人。それぞれ楽しんでいる。

わたしは念願のバハマの海に入ってる写真を撮ってもらった。防水用カメラが旅の最後に来てようやく役に立った(見苦しい写真は封印ということで)。

青いよー!

夜はおじさまとごはんを食べることになっていた。1時間半遅れできたおじさまは本当にうれしそうだった。どうしてかというと、釣りでかなりの大物をGETしたからだ(沖に出て大物を釣り上げるために、バカンスでここ、ナッソーに来ている)。またそんな話とかで盛り上がる。おじさまの話はテンポがよく、楽しませてくれる。こんな人に出逢うとは思ってもいなかった。

「夢を見てるようだって?ここでは、うんと贅沢しろ」

やっぱり夢を見てるとしか思えなかった。けれど、ほっぺたをイーっとつねると確かに痛かった。


31〜35日目:2000年3月10日(金)〜3月14日(火)
主な移動経路:バハマ→オーランド・ディズニーワールド→日本へ
宿泊地:オーランド・ディズニーワールド周辺

夜、ほとんど眠れなかった。

熱は下がったみたいだけど、猛烈な腹痛に一晩中襲われた。そんな中この1か月に起こったいろんな出来事や、出逢った人をひとりひとり思い出していた。今晩で一人旅は終わりなのだ。オーランドでももちんに会うのが今日。

一人旅は好きだし、早く帰りたいとは思わないけれど、早くゆみちゃんや、M氏に話がしたかった。好きな人たちにこんなことがあったんだよ、って話をしたかった。

朝、おじさまの部屋にお礼の手紙を持っていった。いつも通り、大阪や愛媛で暮らしていたらきっと出逢うことはなかったと思う。ありがとうございました。こんなわたしを気にかけてくれて。感謝の気持ちでいっぱいです。

部屋を出ると、すぐにチェックアウトした。悲しいわけじゃないのに泣いてしまいそうな気がしたからだ。ホテルの前からタクシーに乗り、空港に向かった。ぼーっと窓から外を見てた。ああ、バハマってきれいだな、ずっとここの海は青いのだろうか。5年経っても10年経っても。

空港のポストから、友達にハガキを出した。ここでの夢みたいな出来事をほんのちょっとだけ書いたはがき。また、いつかバハマに来よう。何かにすごく疲れたときに。

体調はよくなってきたと思ったけど、どうやらそうでもないらしかった。依然腹痛が続く(辛)。

早くオーランドに着いてしまいたい。バハマから、アメリカのオーランドまで、45人乗りの飛行機。来るときには、もっと大きな飛行機に多分わたし1人くらいしか日本人いなかったのに、このちっこい飛行機に16人もいて吃驚!暇なわたしは数えたのだ。だから間違いない(しかもみんな日本語を話してたから絶対だ)。

ナッソーではそんなに日本人と遭遇しなかったというのに。みんなどこに居たのだろう。しかもわたしともう1人の女性を除いてみんなツアーの人らしく、どうやらバハマの後、ディズニーワールドに行くのがお決まりのコースになっているようだ。

さて、ももちんと待ち合わせのオーランド空港に14:30到着。6時間待ちだ。

トイレトイレっと・・・
バックパックが大きすぎるため、トイレの入り口のじゅうたんゾーンの邪魔になりそうにないところに置いて中に入った。用を済ませ、個室から出て確認したらバックパックが確かにあった。

手を洗い、眼鏡のレンズが汚れてるな、と思って、石鹸でゴシゴシ・・・振り向いたら!


はい、バックパックがありません。


うそや〜ん!!言いましたよ、ええ。

だって、出てきたときにあって、眼鏡を洗ってる数分間に。すぐ2〜3mはなれた所にさっきまであったのよ。信じられない・・・何故ないの?

急いで外に出てみる。バックパックを担いだそれらしき人はいない。これはまさに
姉さん事件です。でも、小型リュックはわたしが持っていたし、おじさんからもらったプレゼントや、カメラ、フィルムも、日記も全部大切なものはいってたし。パスポートもお金も大丈夫。

「もしかして荷物が少なくなったと思えばええんちゃうん?」

と開き直ってみる。

「あ、盗難保険」と思って保険のガイド見てみる(意外と冷静)。

バックパックには、・・・自分で作ったTシャツ、捨ててもいいような下着やトレーナーとか?!え?領収証が必要?!こりゃ保険おりるわけがない(きっぱり)。

あ、でも友達のおみやげ!あれはもう買えないな、と思い始め、すると犯人に対する怒りがフツフツと沸いてきた。そして分析することにした。

・犯人は女である。
:♂は♀トイレに入ってこれない。

・犯人は力持ちである。
:かなりの重量があるため。複数犯の可能性有。

・犯人は目立つはず。
:みんなディズニーワールドやシーワールド目的のためスーツケースで来ている。バックパッカーは皆無。

・犯人は車を利用しそうだ。
:わからない所といえば、車のトランクに入れるしかないと思われる。

そして有力情報をGETするべく、ききこみ調査に入ることにした。まずはトイレ掃除のおねえさんだ。

「はあ?バック置いてたらなくなった?知らないわよ。」あんたがそんなところ置いてるから悪いんだよという感じの冷たい態度。ごもっともだが、感じは悪い。

次は空港内を歩いてる警備のおばちゃんだ。

「トイレに置いてたらあんたのバックが消えた?そうかい。じゃ、あんた誰かのHELPが必要だね」と言って去ってしまった。

おいおい!あんたがHELPになってくれんのかい!とつっこみたかった。いや、あのときは実際つっこむべきだったと思う。彼女も実はそれを待っていたに違いない。きっと関西系のアメリカンだったな、おばちゃん・・・

こうとなれば己の力でどうにかせねばなるまい。

犯人ならきっと外に出るに違いないと思い、外に出てみる。団体さんのバックをドサリと積み重ねられたあたりをチェックして見るけれどどうもなさそうだ。違うドアのところへ行ってみるとセキュリティの人と思われる黒人のでっかいお兄さんが立ちはだかっていた。

「どうしたの?タクシーに乗るの?」
「いや、あの、誰かグレーのバックパック背負った女性を見ませんでしたか?」
「いや、そういう人は通らなかったけど?友達を待っているの?」
「わたしのバックバックなんですけど、無くなったんです」
「何?無くなった?それは!ちょっとこっちに来てごらん!」

なんだなんだ?!警察とかに連れて行かれるの?

でもとにかくばちゃんたちとはは違って協力してくれそうである。エレベーターに割りこみ乗りしてお兄さんについていく。そこは犯行現場の目の前にある、デルタ航空のバッゲージクレーム。

あの、ターンテーブルからはちゃんと荷物とったから、バッゲージクレームではないと思うのですが。

とりあえず中に一緒に入る。

「この子のグレーのバックパックが届いてないかな?」

「あーあるよ」「はい?!」

確かにわたしのバックパックがあるではないか!


「だめだよーちゃんと荷物はみとかないと」


「はぁ?」

どうやら、誰かに盗まれたらいけないということで、見回りの人だかなんだかが、ここに運んだらしい。

一応ありがとう、と言ったもののはっきりいって
大きなお世話!(一応小声)

あんたたちのせいでどれだけ歩いたことか。ふう。でもとりあえずよかった、見つかって。なんだかんだいいつつ、旅してきた友だから。でも、持って行くなら行くと、どうして一言言ってくれなかったのだろう。何て失礼なことをするやつらなのだ。名前も住所もちゃんとバックパックにタグをつけてたのに。本当にいらない汗をかいた。やれやれ、ということで、事件も一件落着(1人で大騒ぎ)。

今日泊まるダウンタウンのモーテルのおじさんが、空港に着いたら電話ちょうだい、と言ってたのですることに。はじめは英語でやりとりをしていたのだけど、おじさん(台湾人)は日本語堪能なので、途中から日本語で。

ディズニーワールドの思うホテルが取れなかったので、3泊はオーランドのこのダウンタウンのモーテルに泊まることになっているのだ。ディズニーワールドまで交通の便が悪いかな、と思ったけれど、路線バス1.10ドル、1時間ほどでディズニーワールドまでいけるらしい。(あとの2日はディズニーワールド内のホテルになっている)

「空港からタクシーで26ドルくらいだからね」と言った。これが後々大切な言葉になろうとは。

ももちんを待つ態勢に入った。

ヒマだったので、よくみんながやってる、紙に誰それ、とマジックで書いたやつ、あれを製作することにした。ローマ字で「MOMOKO」。うむ、準備は万全。17時・・・18時・・・19時・・・いつまでたってもももちんらしき人は出て来ない。しっかり便名を聞いておけばよかった。ばかだなーわたし。

でっかい掲示板とにらめっこする。

”20:20 アトランタから”という便が。

もうあれしかないよなぁ。 数分ごとに掲示板は変わる。飛行機が近づいてきたら" IN RANGE"、着陸したら"LANDED"、出てきたら"AT GATE"。

いつ、"IN RANGE"に変るのだろうと待っていたのに。おかしい、20:50になっても変らない。と、そのとき


表示が消えた!


20:20の飛行機の表示自体が消えてしまったのだ(焦)。

さっき、ゾロゾロと人が通っていたあの人の中にいたのだろうか。あれだけ目を凝らして見ていたのに・・・

1つ階を降りたところのターンテーブルの所までダッシュ。ターンテーブルのところにも、先ほどの消えた飛行機の便名表示がない。どうして?!まだ来ていないのか?!次の21時半の便なのか。

むやみに動かないほうがいいのかな、と思い、さっき待ってたところで待機しようと戻っとこうと階段上がってると、


桃:「あ。おった」


よかったー会えてよかった(涙)。

ディズニーワールド内の泊まりたかったホテルがとれなかったので、3泊はオーランドのダウンタウンに泊まることになってしまったけれど、楽しみだね!わくわく。

ももちんとタクシー乗り場を探すことに。どこだろうね。そうこうしていると男の人がやってきた。

「タクシー?」
「そうです」

すると、こっちだよ、と案内された。何やらやたら遠い。

途中からももちんと、「あやしくない?」とヒソヒソ話。遠いし、バックは重いし、疲れているし。
目の前に現れたものは、じゃーん!超高級車。

値段を聞くと、2人で45ドル。

やっぱり・・・ももちんとの意見一致で、「ほかのを探します」と言ってその場を去った。

それにしても、モーテルのおじさんが、相場を言ってくれてなかったら、わからなかったし多分乗っていたと思う。おじさんに感謝(タクシーはミアーズとは反対側の出口。わかりにくいので注意)。

ちゃんとタクシーテーブルにおじさんがいて、住所とモーテルの名前を告げると、なにやら紙に書いてくれて、それを運転手さんに渡してくれた。やれやれ、ひと安心。

ももちんとはタクシーの中でマシンガントークをし、25分くらいで到着。2人のために、受付の人は待っていてくれたらしい。部屋は本当に2人で40ドル?!と驚くくらい、新しくはないけど、清潔。ベッドも広いし。

ももちんが持って来たポリンキーをボリボリ食べていたら、電話が。なんとオーナーの台湾人のおじさんからだった。仕事は終わってるのに、家から心配してかけてきてくれたのだ。わたしはこういうのに弱い(感動)。

ディズニーワールドの行き方(バスの乗り換え)等、いろいろ教えてくれた。本当に助かった。感謝。

しゃべって、食べて、1時頃就寝。路線バスだから6時半起きだ。


そんなこんなでまるまる4日間、ももちんとディズニーワールドを思いっきり堪能した。2人してでっかいプーさんとティガー買っちゃったね(笑)。ディズニーワールドではほとんど待つことなく、ミッキーたちと写真を撮れた。さすがディズニーワールド。もう随分大人なのに、わたしたちに夢を与えてくれた。

アメリカ最高。ももちん、夜中外のプールで震えながら泳いだのたのしかったね(笑)。またどこかに行こうね!

アニマルキングダム前にて アメリカといえばコカコーラ
ミッキーとミニーちゃん☆ マジックキングダムにて
MGMの花火・・・涙でた ミッキーの部屋 スペアがいっぱいある(笑)

帰りの飛行機の中では隣にももちんがいた。自分が知っている誰かが側にいるということはこんなに緊張をしなくていいもんなんだ。

さーて、日本に戻ったらしっかりと働いていかなきゃね。どこに行っても、きっと大丈夫。手に入れたものは、自信と言うおまじない。


それにしても、泣いたり笑ったり、忙しかったなぁ・・・最後まで(笑)。



-end-

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