▼#05 【日帰りで、あのしまなみ海道をチャリンコで渡っちゃおうの巻】
2006年3月15日(水) はれ

10時過ぎに布団に入ったというのに、いつまで経っても眠れなかった。

薬はもらったのに、最近全く効き目がない。花粉症のせいでもあったけど、興奮していたせいでもあると思う。

目覚ましがなったときまだ外は暗く、これから眠れそうな気もしたけどなんとなく今日でないとダメな気がして、モソモソと布団からイモムシのように這い出した。ここ2、3日の冷え込みに期待して白猪の滝の氷瀑にかけるか、それともしまなみ海道をチャリで走るか。ずっとずっと迷っていたけど、やっと決まった。


【持ち物】
チャリ類 コカコーラの懸賞品
(2004年アテネオリンピックモデルのクロスバイク・7段ギア・GELサドルカバー装着

ボンベタイプの空気入れ
●パンク修理セット
食料類 ●バナナ2本
●野菜ジュース
●お茶500ml
●キシリトールのどあめ
記録類・その他 ●三脚
●デジカメ
●手帳・ボールペン
●タオル・ティッシュ1個
●お金
ザック こんなやつ(20リットル)

あぁ、さむ!!

母を起こさないようにそっと1階に降り、父を踏んづけないように身支度をして、玄関からこっそり自転車を外に出した。今はおもちゃのような家なのでみんな物音に敏感だ。そっと、「行ってきます」。

真っ暗な中を出発し、今治港に着いたのが6時過ぎ。

今治から尾道に向かって走るか、それとも尾道から今治まで走るか。何せ片道限定の自分の自転車での走行となると、どちらか片道は自転車を輸送しなくてはならない。しかし、今治ー尾道へと直接行けるフェリーはない。自転車だけを輸送してもらうサービスもない。当初は竹原行きのフェリーに乗って、竹原〜尾道〜今治も考えたけれど結構距離があるとのことなのであっさり断念。

ふむ、尾道までどうにか自転車つきで運んでもらえないものか・・・

レンタサイクルで乗り捨てさせてもらえばいちばん簡単なんだけど、やっぱり自分のチャリで漕ぎたいし。で、探した結果、@【芸予観光フェリー】でまずは広島県・因島(いんのしま)の土生(はぶ)まで快速船・A【藤井一彦(←個人名の船会社も珍しいですね)】で土生→尾道まで高速船で乗り継いでいけることが判明。尾道に着くのが8:35。いいんでない?

なぜ今治から尾道に向かって走らないかというと、万が一時間がかかりすぎて帰りのフェリーがなくなったらいやだからという、何とも弱気な発想からである。家(愛媛)に戻るならいくら遅くなってもいいしね。

ちなみに走るルートはこんな感じ。尾道〜今治サンライズ糸山まで全長70kmほどか。

窓口に因島(土生)までの快速船のチケットを買いに行った。

「6:25の快速船で。あの、自転車も乗せたいんで、その分と」




あー自転車ね。快速船には乗れんよ




え。

チャリがダメって、HPに書いてたっけ?!っていうか、それって困るんだけど!!

困るけど、わたしが困るからとどうにかなるわけでもなく「6:20のフェリーにやったら大丈夫やけん」。

仕方なく6:20のフェリーのチケット(1450円+自転車220円)を購入。フェリーなので快速船よりも因島に着くのが1時間も遅くなる。あーその先の後の乗り継ぎってどうなるんだろう。出鼻はいともあっさりくじかれたものの、とりあえず今治を出発。

あー寒い! おはよう! フェリーデビューです☆
今治港・第3桟橋より ちょっと遅かった 初めて遠出です

フェリーの中は外よりも暖かいけれど、暖房は音だけいっちょ前で、寒くて寒くて眠いのに全く眠れなかった。せっかくカーペットゾーンもあるのに。

む。と19日のことについてメールをしていると、因島から尾道行きのフェリーについても調べてくれた。接続はそう悪くはない模様。

因島(土生):8:35着。

む。の調べでは9:04の船があるはずなのに。



次は9:47までないですよ




うそやん。
窓口のおばちゃんは親切に時刻表をくれたのだけど見てみると1日にたった6本しかない。でも自転車は乗せてくれるそうなので一安心である。

ないものは仕方がない。近くにサティがあったので行ってみた。

サティとは違う気がした
スーパーみたい(笑)

うれしいことに8:30から営業してくれていたので、中に入って時間つぶし。足の先があんまり冷たいので100均で靴下と、ティッシュを忘れてきたので購入。食料品売り場でキシリトールの飴やらおにぎりやらを購入。たかだかこれくらいのものでザックが重くなったと感じる敏感なわたし。

港の待合所も暖房がほとんど効いてなくてブルブル。暑いくらいなのにね、普通。あー寒いよ。

そこへやってきた、尾道行きのホワイトドルフィン(850円+自転車100円)。高速船だけあってあったかい(幸)。こんなにちっちゃい船の一体どこにチャリを?と思ったら、中にちゃんと入れてくれました。わーい。

しかし団体のチャリダーが乗ったらどうなるのかな。

ホワイトドルフィン号 収納!
これで尾道まで チャリもあったかだね

9:47に因島(土生)を出たホワイトドルフィン号はウトウトしている間に尾道に到着(10:24)。天気も、着いたときにはすっきり青空!やったね、予報どおりだね。

一人DEミドリーズ?
尾道駅前にて

尾道は4回目なのだけど、わたしの中では原付で・バスで・JRで来たときと、さらに福山との記憶がゴチャゴチャになっている複雑な街である。とりあえずはラーメン屋さんを探しに商店街や海沿いを20分ほどキコキコ。めぼしいお店が見つからなかったので、駅前まで戻り、グルメマップを入手。

住吉神社近くのラーメン屋さんがおいしいと聞いていたけど、残念ながら水曜は休み。商店街にある「たに」というラーメンやさんへ。11時過ぎのオープン間もないころにに行ったのでわたし一人。カウンター席しかない、実にこじんまりしたお店だった。

商店街を走っていたらわかります おいしそう☆
「たに」 尾道ラーメン@500円

醤油味ベースに背アブラがプカプカ浮かぶ、尾道ラーメン。むむ?!これはこれでおいしいけど、尾道ラーメンの割りにさっぱり目?おねえさんが作っているから、もしかして女子向けに作っているのかも。こってりなのをイメージしていたので。でもこれなら何杯でも食べれそうだ。

肉でも脂部分はあまり好きではないわたしだけど、尾道ラーメンのアブラだけは特別。昆布茶のアラレのような存在で一つ一つチマチマすくいながら食べるのがわたしは好きである。ごちそうさまでした!

さて、しまなみ海道の入り口を目指しますか。
1回原付で走っているわけだし、大丈夫でしょう。

と、いつものごとく余裕をかましていたら、あれれ?

何だか自動車専用道路みたいなんですけど。既に駅から20分は漕いでいるのになぁ。

さすがに方向が違う気がしたので、道端にいたおじさんに、チャリで橋を渡りたいのだけど入り口はどこかと尋ねてみた。

「ちょっと待ってよ。電話で友達に訊いてみるけん」

お手間を取らせるようならばほかで調べますから、と言ったけどおじさんは「友達はしまなみ海道のサイクリングのなにやらの役員をしているから任せといて」という。

んじゃ任せてみるか。

ところが5分ほど待って返ってきた答えは



自転車ではね、渡れんみたい



うそん。



「自転車が走れる道、ないんですか?」と冷静に訊いてみたのだけど、おじさんが友達に訊いたところによると「一旦向かいの向島にフェリーで渡って、そこからなら橋がある」ということだった。

まさかこんな答えが返ってこようとは!原付では渡れたのになぁ。頭をフル回転にして過去のページをめくる。今まで読んできた数々のチャリダーの旅日記。1枚・2枚・3枚・・・


いや、絶対にチャリで渡れるはず!!だれも尾道から向島までフェリーに乗っただなんて書いてなかったはず!!

「ありがとうございました」とおじさんに伝え、駅まで戻る道を教えてもらった。観光案内所でサイクリングマップを貰い、そこに居たおねえさんに訊いてみた。

「しまなみ海道を自転車で渡りたいんですけど、入り口ってどこですか」



その前から向島行きのフェリーが出ているのでとりあえず渡ってください



うそん。



うーん。

ないのかぁ。でもサイクリングマップを広げたら、橋があるんだけどなぁ。わざわざ尾道まで船でやってきたのである。この尾道(広島県)から今治(愛媛県)までチャリで走りきりたい。しつこいかな、と思いつつやっぱり念のために訊いてみた。

「ここの橋は自転車で渡れないってことですよね?」









渡れますよ。かなり遠回りですけど









はぁ?(プチっ)。
渡れるんですか。そうですか。
なら訊いているんだから何で教えてくれないの?


・・・(長くなるので以下略(笑))。
事前にしっかり調べてなかったわたしにも非があることは間違いない。ごめんなさい。でもやっぱりプンプン。

ロスタイムもいいところである。まさか尾道脱出にこんなにかかるなんて。

やばい、こんな時間!
入り口ですでに12:30

やっとここまで来たね!さぁ行くぞ。
橋を渡るということは、登ったり下りたりの繰り返し。で1つめの登りをクリアするとだ。

ブルブル
@尾道大橋・10円

橋を終えると料金所。普通の高速道路みたい。ここも車が来ないときを見計って全力で向かった。何だかなにもかもが新鮮。通行料の10円を支払うとおばちゃんが「気をつけてね」と声をかけてくれる。近くに聞こえるようでとても嬉しかった。一気に下り。めちゃくちゃ気持ちがいい。

まずは向島内を約8km。最初は普通の街の中を走っているようだったけどしばらくすると海沿いに。やっぱり海の近くがいい。やや向かい風ではあるけれど、とにかく今日は天気がいい。にんまり。

海がきれい! こういうの好き
A因島大橋 50円 のんびりしてます

キコキコ因島大橋まで登ると汗びっしょり。下りずに登っていると、同じような自転車に乗っている身軽な若いお兄さん(←押してた)をかわすことに成功。おぉ。すげぇ。このわたしが抜かしたぞ。車でもめったに抜くことなんてないのに(笑)。

ここは唯一橋の下にチャリ・原付道がある。だからとても涼しい(爽)。あー今治までずっとこんな道でもいいよ、わたし。

ひんやりしてました ぱちり
さわやか! オレンジ色なのがかわいい

脱出するとそこからも下りで気持ちがいい。たまらん。この勢いでと思ったけれどそこに現れた巨大な物体。あぁ、せっかくの下りなのに。止まりたくないなと思いながらも止まって、やっちゃいました。

わーい!!
かおりの恐竜

ドラえもん好きなら誰もがするはず
(のび太の恐竜ですYO!)
この辺の道は穏やかで田舎のイメージそのもの。「春」もそこらじゅうに。

かわいい☆
満開!!

因島を約9.5kmほど走ると次に現れるのが生口(いくち)橋・3km。

キターー!! イイ!!
B生口橋 50円 きれい!!

わたしはこの生口橋がいちばんすき。自転車はいい。橋の上で止まれるから。

やっぱりいいね!
四国側よりもう一枚

生口島内には自転車専用道路でみかんやレモン畑の中を走れてとても気持ちがよかった◎。レモンといえば岩城島だけど、ここの瀬戸田町でも結構作られているんだね。みかんの木ととてもよく似ているけど、ちょっと葉っぱが違うのかな。半分を過ぎた辺りからどうもケ●痛がジワジワと。イテテ。ときどき立ちこぎをしながら痛いのを緩和しつつ進んでいった。

途中で沢フェリー乗り場のほうまで行ってしまい、ウロウロしたけど道が見つからない。ふぅ・・・暑いなぁ。水分を取りながら地図を見るのだけど、どこで間違えたかがわからなかったので通りがかりのおじさんに訊いてみた。

「多々羅大橋のほう?!そりゃ全くもって方向が違うわい。逆方向を走らな」

地図見る限りちょっと道を間違えただけだと思うんだけど。それにもう島の半分は来てるわけだし・・・おじさんの前で地図を広げ、生口橋の方から多々羅大橋までのサイクリングコースを見せた。

「何でこんな道通りよん。こっち(サイクリングコース・島の九州側)やなくてこっち(島の関西側)の道を通ればええのに」

何でって言われても・・・サイクリングコースがこっちってマークがあったら普通の観光客はこっち走るよね。それに立派で気持ちのよいサイクリングロードだったよ。最後までおじさんは何でこっちの道を通っているのかそればかりを言っていて、なかなかサイクリングコースへと戻る道を教えてくれなかった(笑)。そんなに責められても・・・いいじゃん、漕いでるのはわたしなんだしさぁ。

ようやく×2、聞き出したところによると、300mほど戻って平山郁夫美術館を右に曲がるといいらしい。あぁ、「今治」って書いてたところを素直に曲がればよかったんだ。あれは車の道だと思ってまっすぐ来ちゃったんだよね。11.7kmほどある瀬戸田町はなかなか広い。

しばらく走ると立派な多々羅大橋が見えた。この橋は、広島と愛媛の県境。初めてのチャリDE県境越え。今日は初めてがいっぱいだ。

すらり☆ 斜張橋としては世界一
橋の上より C多々羅大橋 100円

大三島では行きたいところがあったのだけど、このままでは日没までに到着できないことは確実だったので少しでも先を急ぐことにした。それにしてもケ●痛と相まって、橋までの地味な上りがじわりじわりと体力を奪っていく。足がどうとかはないんだけど、とにかくお●ツが・・・こりゃ確実に割れとるわ(元から割れてるじゃんっていう並みのツッコミは勘弁してもらいたい)。

走っていると、地元のおばちゃんが「こっちのほうが大分近いから」と道を教えてくれた。ありがとうございます。さぁ行くぞ!と思ったけど、坂を前に押しに入ることに(弱)。

押しました 普通です
こう見るとなだらかに見えるけど D大三島大橋 50円

ここで既に5時。大分寒くなってきた。まだまだ先はあるのにまずいなぁ。と思いつつ、お腹が減って力が出ないアンパンマン状態だったので、橋の見えるところでお腹をみたし、しばし休憩。

あぁ、いいねぇ。この時間。

荷台に荷物が積めたら、寝袋を持ってこれて。そしてもっと、いいなと思える時間をゆっくりと過せるのにね。ちょっとだけ、もったいない気がした。


原付と自転車と歩行者が一緒の道
大三島大橋の上より

むずむずと感じる花粉。
鼻づまりなわたしでも、それでも気がつく匂い。先を急ぎつつ、やっぱり足を止めてしまった。一人では生きていけないかようにまとまって咲いている、気づいてよと言わんばかりに自分の匂いを放つ、でも、その容姿はとても清楚なこの花がとても好き。

「君は強いから僕なんかいなくても、ひとりで生きていけるでしょ」

そう人間なら言われそうな、強そうだけど本当は弱い女性。そんな気がしてならない花。多分わたしはドラマの見すぎです。

スイセンだいすき☆
・・・花言葉は自惚れ(爆)
でもすきよ

いかんいかん、世界がどんどんセピアになっていく。

もう暗くなってきた・・・!
E伯方・大島大橋 50円 もうちょっとだ

ここを渡ってしまえば、大島はこの間1回通った道だから大丈夫。
コンビニで軽食を買って食べつつ、どんどん暗くなっていく道をゆっくりと進んでいった。荷物満載のお兄さんが坂道をグイグイ登っていく。いやぁ、男ってのはかっこいいね。無言の背中がたくましい。

もうわたしはオ●ツが限界だ。でも、最後は絶対に下りないと心に決め、来島海峡大橋まで上っていく。キコキコ・・・足を止めたいとか、歩きたいとか思いながらも、キコキコ・・・あとちょっとだよ、がんばれ、キコキコ・・・

自分のその規則正しいペダルの踏み方に満足していくわたし。踏み方なんて、前に進めばそれでいいじゃんって思いそうな大雑把な自分のはず。なのに。自分でも予想しない、意外なところに喜びを感じる自分を知った。

すっかり夜
F来島海峡大橋 200円

ここまで来たらこっちのもんだ。これを渡れば今治。あとちょっと。
橋ってまっすぐだって思ってた。車でも歩きでも原付でも気がつかなかったけど、チャリだとわかったよ。橋ってまっすぐじゃないんだね。

やったよ!
PM 7:43着

ただいま!
わたしでも、ちゃんと渡って戻ってこれた。初めての大冒険。自転車の人が、みんなすれ違うたびに挨拶をしてくれた。うれしかった。きれいな景色を立ち止まっていっぱい見れたYO!

家に帰ると、おとんとおかんが笑っていた。

「本当に行ったんか。これ、塗っといたらええ」

お●ツに塗る塗り薬。おとんもおかんも、バイクで今治ー尾道を1日往復で走ったことがあるので、ケ●痛には理解があるのである。

リアルタイム人の日記を見てびっくり。同じ日に、同じルートで走った人がいたんだ。なんだかすれ違いばっかりだなぁ(笑)。残念ー!!今日はとにかくお風呂に入って眠るとしよう。

お風呂から戻ってきてまたびっくり。今日という日は漕ぎ終えたからと、まだ終わりはしなかった。

襲撃のキヲク #03へつづく・・・

#05 プチ旅データ
今日走った距離 多分85kmくらい
【広島・愛媛】
今日使ったお金 4592円
●船(自転車込)・・・2620円
●橋通行料・・・510円
●食料費・・・1252円
●生活用品・・・210円
症状 ケ●割

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